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Channel: 探墓巡礼顕彰会-墓碑調査・研究プロジェクト-
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師の謦咳に接すとは

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会員のカトケンです。

緊急事態宣言の解除を受けて、著書の紹介を受けた大学時代の指導教官福地惇先生にお目にかかりにお住まいのある街に足を運んだ。

『欺瞞の歴史を斬る!』(沢口企画=写真)を出版されたとのお手紙をいただき、すぐに購入。その感想を述べようとご自宅に連絡を入れたちょうどその頃、緊急事態宣言が再び出てしまい、ご著書の購入方法をわずかに年賀状のやり取りをしている同級生たちに伝えるくらいしかできなかった。



自らのことを「超右翼」と呼び、大手出版社からの刊行はならなかったことを嘆いて居られた。

もう20年以上前になるが、小弟らの大学卒業と同時に大学を退官され、当時の文部省教科書調査官に転じ、1年も経たないうちに江沢民国家主席の来日時に会員制雑誌で侵略戦争を肯定する発言をした廉で更迭されてしまった。しかも、任官前の対談を槍玉に挙げられたからたまらない。

閑職に追いやられ、教科書調査官になってやりたかったことを何1つさせてもらえないまま、数年後退官し大正大に転じた。

さぞ無念であったろうと思う。だが、我々の学生当時ゼミの打上げで先生が本来歴史の教授ではなく官僚になりたかったが、ちょうど当時の厚生省次官が汚職で捕まっていて、もし官僚になっていたらあんなことになっていたかもしれない!と軽口をたたいてよく我々を笑わせくれたものだった。

また、小弟なぞは先生の授業に物足りないと悪態をついていたが、先生は誰一人落ちこぼれることがないよう生徒のレベルに合わせて授業を開かれていた。ゼミの欠席者が出ると授業が難しかったのだろうかなどとよく心配されていたことは、思い出しただけでも心温まるものがある。

またこんなこともあった。先生の日ごろの愛国者ぶり、「尊王攘夷」とも言うべき主張からするとおよそ見当もつかないことだが、ゼミに参加していた中国人留学生が発表を終えた時、その努力と苦労を先生が褒め讃えたことである。

我々日本人ですら江戸時代を生きてきた明治人の漢字仮名交じり文の読解に、日ごろどれだけ悪戦苦闘させられたことか身に沁みていたから、まして外国人が同じことをやらなくてはならないなど、その労苦たるや計り知れないものがあった。先生はそれに報いるべく皆に拍手を求め、我々も自然とその留学生を喝采したのだった。

そのように生徒の気持ちを汲んでくれ、さり気なく導いてくださる師なのである。

在学中、台湾からの留学生とも少し立ち話をしたことがあるが、彼らは英語も日本語もでき、英語すらままならない我々など足元にも及ばなかったことを今更ながら思い出すとはなはだ赤面の至り。

そういう大真面目な先生である。もちろんご著書の中身は、大東亜戦争は米英が日支衝突を企てたことを論証するものになっている。その主張と人間性のギャップには接したことがない者は到底、理解し得ないものであろう。

幸いにして教科書調査官を追われた時以来、先生がマスコミを賑わすことはないが、世間で言うところと実像とはこれほど差があるのかと日頃歴史を追究していて身をもって感じるし、ご当人もよく今まで殺されずに済んでるよなぁとまた冗談めかしておっしゃるのを、それはやはり人と接する時の良識を持っているかどうかという理由があるからだと私は思う。

改めて師の謦咳に接すとは如何なることか、いつまでもお元気で生涯現役のつもりで研究にいそしんでいただきたく心から願う。その背中から、我々弟子たちも時々ひょっこり顔を覗かせては、楽しく歓談する機会を作りたいと思う。コロナがこのままおさまることを願いつつ...
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