会員のカトケンです。
去る6日(土)土佐史談会関東支部例会が催された。
講談社学術文庫に入った『漂巽紀畧』(ひょうそんきりゃく)の訳者による出版裏話や監修者によるジョン万の光と影が語られた。
充実した語りぶりに昨年のやうに告知をすべきだったと今更ながら後悔している。
申し訳ないが、こちらも例会開催のために講師への謝礼やら受付簿の作成やら、仕事の合間を縫って準備しなければならないから、広報までは兼ねられない。
いつものことだがあっという間に前日を迎える。去年は自分が講師だからレジュメを間際まで作っていた。これも仕事が多忙だったためだが、今年もさして状況は変わらない。
案の定、降ろしたお金を会場を貸してくれる方にお礼のためお茶を買ったコンビニにそっくり置き忘れてしまったーー
例会後の懇親会はいつもながら当方が予約係、人数のとりまとめに接待・会計と酔ういとまもなく、遠方からの参加者に2次会もお付き合いしたから、金を置き忘れたコンビニに寄るのをすっかり忘れてしまっていた。
明くる日もう一度、件のコンビニを訪れると大都会とは思えないほど悠長というかーー恐る恐る聞いてみたところ、店員に心当たりがあるらしくすぐに持ってきてくれて封筒を渡された。これですよ、これと自ら書いた金額の文字が目に入る。
店員は破顔一笑、「大事なもの忘れちゃダメですよ」と叱られてしまった。こちらは保管しておいてくれただけ神様仏様である。気恥ずかしいのですぐに店を発とうとしたが、せめてものお礼に好きなジュースを1本買った。
どこで忘れてもだいたい保管してくれている、昨年も電車で携帯を落としたのだが、駅の落とし物係にちゃんと届けられていて、東京も親切な人がいて捨てたものではないなと自分のだらしなさを棚に上げて感心してしまう。
さて、当日に戻って肝心の漂巽紀畧は、原本が未だ見つからず仕舞いなのだが(写本をもとに現代語訳)、記述者である画人河田小龍が京都で腕に磨きをかけて帰国したばかりのめぐり合わせも重なって、ふんだんに絵が描かれ、まるでカラードキュメンタリーなのだが、文庫でそこまでは復元できなかったそうで。
ジョン万の書く英語の意味の深い考察や乾隆氏によるジョン万英会話の研究にも触れられ、漂巽紀畧のタイトルはタツミの方角に漂流した概略の意味だとか。
副題は「5人の日本人の物語」とのこと、この辺りも万次郎少年が如何に仲間を大切にしたか、米国から日本に送られる帰途、ハワイに残っていた仲間を連れて帰ったことからもしのばれる。
また、ジョセフ彦や打払令のせいで帰国できなかった他の漂流民との比較にも触れられて、もはや土佐史談の枠を超えたグローバルな展開は聞き手を唸らせるのに十分であった。
講演後、厳しい質問が寄せられ、相変わらず油断ならない、否、学術的レベルを落とさないこの会にまたやる気を奮い立たせてもらったーーともかく皆さんお年を召されていてもよく動かれ、まだまだ下働きのただひとり駿河人である小弟は、土佐人のタフさにただただ恐れ入るばかりである。
『漂巽紀畧 全現代誤訳』講談社学術文庫、税別800円。
『土佐史談』にご興味がありましたら、ホームページをご覧ください。
土佐史談会事務局
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去る6日(土)土佐史談会関東支部例会が催された。
講談社学術文庫に入った『漂巽紀畧』(ひょうそんきりゃく)の訳者による出版裏話や監修者によるジョン万の光と影が語られた。
充実した語りぶりに昨年のやうに告知をすべきだったと今更ながら後悔している。
申し訳ないが、こちらも例会開催のために講師への謝礼やら受付簿の作成やら、仕事の合間を縫って準備しなければならないから、広報までは兼ねられない。
いつものことだがあっという間に前日を迎える。去年は自分が講師だからレジュメを間際まで作っていた。これも仕事が多忙だったためだが、今年もさして状況は変わらない。
案の定、降ろしたお金を会場を貸してくれる方にお礼のためお茶を買ったコンビニにそっくり置き忘れてしまったーー
例会後の懇親会はいつもながら当方が予約係、人数のとりまとめに接待・会計と酔ういとまもなく、遠方からの参加者に2次会もお付き合いしたから、金を置き忘れたコンビニに寄るのをすっかり忘れてしまっていた。
明くる日もう一度、件のコンビニを訪れると大都会とは思えないほど悠長というかーー恐る恐る聞いてみたところ、店員に心当たりがあるらしくすぐに持ってきてくれて封筒を渡された。これですよ、これと自ら書いた金額の文字が目に入る。
店員は破顔一笑、「大事なもの忘れちゃダメですよ」と叱られてしまった。こちらは保管しておいてくれただけ神様仏様である。気恥ずかしいのですぐに店を発とうとしたが、せめてものお礼に好きなジュースを1本買った。
どこで忘れてもだいたい保管してくれている、昨年も電車で携帯を落としたのだが、駅の落とし物係にちゃんと届けられていて、東京も親切な人がいて捨てたものではないなと自分のだらしなさを棚に上げて感心してしまう。
さて、当日に戻って肝心の漂巽紀畧は、原本が未だ見つからず仕舞いなのだが(写本をもとに現代語訳)、記述者である画人河田小龍が京都で腕に磨きをかけて帰国したばかりのめぐり合わせも重なって、ふんだんに絵が描かれ、まるでカラードキュメンタリーなのだが、文庫でそこまでは復元できなかったそうで。
ジョン万の書く英語の意味の深い考察や乾隆氏によるジョン万英会話の研究にも触れられ、漂巽紀畧のタイトルはタツミの方角に漂流した概略の意味だとか。
副題は「5人の日本人の物語」とのこと、この辺りも万次郎少年が如何に仲間を大切にしたか、米国から日本に送られる帰途、ハワイに残っていた仲間を連れて帰ったことからもしのばれる。
また、ジョセフ彦や打払令のせいで帰国できなかった他の漂流民との比較にも触れられて、もはや土佐史談の枠を超えたグローバルな展開は聞き手を唸らせるのに十分であった。
講演後、厳しい質問が寄せられ、相変わらず油断ならない、否、学術的レベルを落とさないこの会にまたやる気を奮い立たせてもらったーーともかく皆さんお年を召されていてもよく動かれ、まだまだ下働きのただひとり駿河人である小弟は、土佐人のタフさにただただ恐れ入るばかりである。
『漂巽紀畧 全現代誤訳』講談社学術文庫、税別800円。
『土佐史談』にご興味がありましたら、ホームページをご覧ください。
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