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Channel: 探墓巡礼顕彰会-墓碑調査・研究プロジェクト-
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昨年を振り返りて〜丹波国篠山城跡訪問記〜

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会員のカトケンです。
大分出だしが遅くなってしまいましたが、本年もよろしくお願いいたします。

昨年リレー連載で『歴史研究』第725号(2024年11月号「特集 最新研究中世城郭II」)に掲載の「掃苔行脚 将軍を諌めた老中青山忠裕が治めた城下」を寄稿するために訪ねた兵庫県丹波篠山市の城下町について書いておこう。

現在住んでいる京丹後市から列車で早ければ2時間ほどで行ける。

ここのお殿様、青山忠裕が松平定信らとともに老中を務めた時の話を書いたが、今年の大河ドラマ「べらぼう」でその時代まで描かれるかどうか。

福知山線篠山口で列車を降り、20分ほどバスに乗って着くと、うずたかい石垣に包まれた篠山城跡が現れる。

小弟は敢えて町外れで降り、王地山焼と云われる焼物が造られていた場所を訪ねた。

薄緑色に焼かれた焼物が数多く展示されたギャラリーを見て、青山の殿様が起こした焼物産業に触れることができた。

王地山焼の工房の近く、王地山稲荷(=写真)を出発点に陶器所を見学した。王地山焼は江戸時代とともに一旦終焉を迎えたが、昭和の終わりに復活されたものである。なお、ここから離れたところになるが、旧篠山地方裁判所の建物を使用した歴史美術館にでも王地山焼を見ることができた。


さて、そこから松平信吉(藤井松平)がお殿様を務めた時代に勧請された本経寺を見学、河原町商家群へ出て趣のある街並みを堪能した(=写真)。


8月の暑い盛りだったが、デカンショ祭りを控え(=写真)、観光客もそこそこ来ており、昼ご飯にありつくのに苦労した。


篠山城跡へ近づくとお堀は一面蓮の花(=写真)。そこからそびえ立つ石垣に近づいて行き(=写真)、階段を登り大書院のある場所に出る。




天守台からの眺めは素晴らしく、本丸跡にある忠俊・忠裕2人の殿様を祀った青山神社にその由来を訪ねた。その後、目の前の大書院(=写真)で篠山城の成り立ちやどのような治世が行われたか、度々繰り返された大名の所替えの様子が分かるちょっとした博物館のようになっていて堪能できた。


小弟の生まれた静岡市は近世初期に領主だった徳川忠長が移った後、ずっと天領のため殿様の城下町という感覚がない。

学生時代に歴史を学んだ高知市は山内家が近世を通じて一環して治めており、大名の移転はなかったから、同じ城に入れ替わり立ち替わり異なる大名が赴任する城というのは、自分の中では珍しい感覚だった。こうした幕閣譜代藩を調べるのも面白いかもしれない。

大書院の中は戦国時代にこの地方を治めた波多野秀治やここを攻略した明智光秀のほか、同時代人物の甲冑が復元され、試着もできるようになっているイベント施設でもあり、子どもが喜びそうだ。

お城を降って入口へ出て(=写真)、今度は城の西側の徒士武家屋敷群を巡った。


江戸時代の家臣たちがそのまま住んでいる武家屋敷の街並みは大変貴重なもので、大火を避けて道と家の間に犬走りが設けてあるところなどを味わい、唯一見学できる安間家で武家屋敷の内部の様子を見ることができた。

今年、大阪万博が催されるのに合わせて、丹波篠山博覧会が予定され、かつて山陰道へつながる交通の要所として重視されたこの街を改めて見直す機会が設けられることになっている。

あとで知り合いに聞いたら、もう少し後の季節、秋ごろに訪ねれば良かったのにと言われた。栗が有名だそうで、訪ねる基準としていつも食べ物を後回しにしているツケがここでも露呈してしまった。

現地でおいしいものを味わうのも歴史的な場所を訪ねる醍醐味であり、下調べを入念にする必要を痛感させられたものである。

原稿を書くためとはいえ、歴史的景観を生かしたまちづくりを行っている城下町を訪ねるのは心が休まる。

近世に医師の養成機関を作って認められ、やがて幕府の正式な機関となり、それを運営した多紀氏の歴代墓について、かつて「掃苔行脚」で取り上げたことがあったが、その多紀氏の発祥とする丹波国多紀郡がこの辺りであることが分かり、初めて場所が実感できたことも発見だった。

お墓ネタがなくて恐縮だが、関西滞在をこのように楽しんでいる今日このごろである。*******************************************************************★ガイドブック『探墓巡礼 谷中編~箱館戦争関係人物を歩く~』のご注文は下記フォームよりお申込みください。
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