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Channel: 探墓巡礼顕彰会-墓碑調査・研究プロジェクト-
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渋沢栄一と論語、すなわちサラリーマンの秘訣?

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会員のカトケンです。
大河ドラマ「青天を衝け」で高崎城・横浜外国人居留地襲撃を断念した栄一に妻千代が「孔子先生も『過っては改むるに憚ることなかれ』と言っています」と声をかけていた。

渋沢と論語は、その著書というより発言録である『論語と算盤』により広く知られているが、4月のEテレ「100分で名著」は渋沢の同書が取り上げられた。

論語の知っているフレーズがいくつか出てきて面白かった。

すなわち、
もしやむを得ず、政治から軍隊と食料と信頼のうち1つ無くさなければならないとしたらどれを残すかと弟子に問われ、最後に残るのが信頼だと孔子は言う。これは他の一節「民は信無くば立たず」に通じている。政治をやるには国民の信頼が欠かせないという意味だ。

渋沢は政治の世界は諦め、実業界へ転じるが、岩崎弥太郎との比較や利益一辺倒ではなく世の中に役立つ商売が常に念頭にあり、資本主義という言葉を使わなかったという。

『論語と算盤』で最後は対極にあるものを受け入れていくのが渋沢の解釈だという守屋淳先生の解説だった。水戸藩の政争で対立する敵同士をやっつけ過ぎて人材がいなくなってしまった話も出てきた。

数年前に職場の研修に講師で見え、中国の古典を分かりやすく説いてくださり、受けた講義の中でいちばん面白かったことが思い起こされる。

ところで、小弟が日頃親しんでいる論語のテキストは、山本七平『論語の読み方』(祥伝社黄金文庫)である。この本の一節に渋沢栄一の父が農民の身分だが論語に親しみ、論語で息子を諭そうとするごく一般的日本人として登場する。

渋沢と聞いて小弟が思い浮かべるのはこの件りである。渋沢自身の歴史的事象はカネコ会員に任せるとして、この『論語の読み方』に出てくる論語と日本人論が面白くて読み始めたのだが、今考えてみると仕事で部下を持ち始めた頃、父親よろしく部下との接し方のヒントになるのではないかとよく読んでいた。

弟子の性格や資質によって教え方が変幻自在に変わる孔子ーーそんな理想の上司には程遠いが、あの頃よく話した話題をきっかけに、今では部下を持つあの頃の部下たちにこちらから相談することもしばしば。これは自分なりの[下学して上達す]なのかもしれない。

そういえば初めて役付として転勤する直前、釣先生ご夫妻や天然理心流剣士の方々に送別会(さほど遠く離れるわけではなかったが)を自分のたっての頼みで東京都北区飛鳥山で催してもらった。

ちょうど桜の季節で人がいっぱいだったが、帰りに晩香廬、青淵文庫、渋沢史料館を皆で見学した。これが目的の誘導の宴だったのだが、歴史愛好家が集う春廼舎メンバーにもとより反対の人はいなかった。

その時の入館券を見ると[10(平成22年).3.27]とある(=写真。渋沢史料館のパンフレットとここ2年ほどで集めた無料の渋沢資料など)。まさに光陰矢の如しである。


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